この低さ「赤ちゃん用」ですか!?「都内でいちばん狭い鉄道高架」もある私鉄路線の“いけずな物件”めぐり
東京・城南の住宅密集地を走る東急池上線。そのなかにはクルマの通行が難しい、中には“人の通行すらちょっと難しい”特殊な立体交差が複数あります。不思議な物件たちを巡ってみました。
東急のなかでも古くに作られた池上線の“特殊物件”
山手線の五反田駅と京浜東北線の蒲田駅とを結ぶ「東急池上線」は、名刹「池上本門寺」への参詣客の輸送を担うために1922年に一部区間で開業した、歴史ある鉄道路線です。全線開通は1928年で、その後、のちに東急電鉄となる目黒蒲田電鉄に買収され、現在は延長10.9kmの路線を3両編成の電車がすべて各駅停車で運行しています。

古い歴史を持つ路線だけに、沿線には狭隘路を含む住宅密集地が広がっており、また線路はごく一部を除き地平レベルを走ります。そのため、生活道路と交わる踏切がいまも多く残されるほか、“人すらも通るのがちょっと難しい”特殊物件もあります。
それが、「洗足池駅」の西側、「長原2号踏切」と「洗足池第1架道橋」にある“異様に低い”ガードです。
この区間の池上線のすぐ北側には「中原街道」が並行して走っており、そのガードも中原街道に面しています。しかし、そんな幹線道路でもガードの入口の“わからなさレベル”は折り紙付きです。このガードは、中原街道に面したハンバーガー店と時間貸し駐車場の間、幅1mもないと思われる路地の先に、ひっそりと口を開けているのです。
池上線の線路は中原街道の地平レベルから2mほど上を走っていますが、ガードはその下をくぐるため、1m50cmほどの高さしかなく、大人が通ろうと思ったら腰をかがめて歩くしかありません。Google Mapでは誰が付けたか、「東京都内でいちばん低い鉄道高架」という名のスポットで登録されているほどです。
一方、中原街道の反対側は住宅地で、その地平レベルは線路とほぼ同じ高さです。そのため住宅地側からは階段を降りるようにしてガードにアプローチすることになります。
ガードの手前には規制標識もなく、また「この先階段」といった掲示もありませんが、そもそもが通過交通など入ってくる可能性がほどんどない住宅街のため、現状のままでクルマやバイクが進入してしまうような事故は起こりにくいと考えられているのでしょう。
なおこのガードがなくても、東西に隣接する踏切を渡る、架道橋をくぐるなどすれば、線路の南北の交通に大きな不便はありません。
そういう意味では、このガードが現在まで残り続けていることそのものが、ちょっと不思議と言えるのかもしれません。
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